![]()
考察の取り掛かりは、「プロダクトコンセプトを何とするか?」でした。
そこで、ターゲットの女性達が、
どういう時計に興味があるか?
どういう時計を欲しいと思っているか?
どういう時計を持っているか?
を調べることにしました。

左より
思い出のワイン色(ノスタルジーワイン)
雨上がりの紫陽花の色(スイートパープル)
蒼き深き湖の色(ポエティックブルー)

左より
窓辺のサフランの色 アンティークイエロー
昼下がりのカフェオレの色 ムーディーブラウン
霧がかかった木立の色 アコースティックグリーン
しかし、調査の結果は、私達の先行きの展望を、真っ向から打ち砕くものでした。
女性達は、特定的に、ロレックス、カルチェに興味があり欲しいとし、しかも、驚く程の数の人が現に所有しているという事実、そして、ロレックス、カルチェ以外には興味なしとしたことでした。
「世界の最高峰とする特定ブランドの時計を、指名買い購入しており、今後、カシオがどんな時計を生み出そうが、ターゲットの女性達の興味を引くことは、全く、ない!」ことを意味したからです。
さらに、「ファッション感覚鋭敏な女性」というくくりでも調査をする為に、原宿の「トップの女性ファッション・デザイナー」にインタビューを申し入れました。ロレックス流行は、彼女たち(高額所得の売れっ子デザイナー)が広めた流行でもあった訳です。
しかし、ここでも、私達の先行きの展望を、真っ向から打ち砕くものでした。
その返事は、時計をしていない腕を見せて、「今、時計はファッションではない。」
この言葉とその深層心理を詳細に分析し、ロレックス流行を生み出しながらも、結果的に自らそれに呪縛されて嫌気している、広い意味での「ロレックス・コンプレックスの中にある女性」という、解釈に至ることができました。
こうして、「高級(に見える)時計、は即、イメージアップ」という安直な策は、おろか、「時計」(ロレックス、カルチェのライバルとしての)という提示すら有効ではない、ことを前提として、私達の考察は進めなければならなかったのです。
激しい内部討議の結果、時計のあらゆる属性の中で「より下位の(時計との関連の薄い)属性」と「ファッション性」を、考えられる限りクロスさせて、「これは、色で選ぶファッション小物。時計ではない。」という「プロダクトコンセプト」を創り上げました。
これによれば、購買は複数所有を前提としうる。また、既にロレックス、カルチェを所有している女性にもチョイスされる。そして「ロレックス・コンプレックス」にある女性達にも、時計ではなく「ファッション小物だ」、と自己納得してもらえる。
色は、慎重の上にも慎重に詮議し、「大人の女性」の感性に答えられる、深く、シックで、上品な色を10色選定し、デザインは、「個性を自己主張しない・個性」(時計という匂いを消す目的)というデザインコンセプトとしました。
私達のこの提案は、数次の激論の審査を経て、最後に、優勝と決せられ、その市場化では、「爆発的・記録的な大ヒット」、との結果を得ることになりました。