日立精機株式会社
〜戦略的デザインの構築法と実践手段〜

デザインの前提条件

従来の大型工作機械とは全く一線を画する新しい構想の機械を計画している。
従って、すべてのデザイン要素について従来の日立精機の常套的な手法には一切こだわらない新規性を要求する。

日立精機株式会社 大型工作機械

デザインコンペ参画への招請は、デザイナーにとって魅力あふれる内容のものでした。

私達は、考察の着手をデザインコンセプトの構築から始めました。
国内・海外の工作機械メーカーの情報をクライアントから提供をうけ、各社デザインの詳細な分析から作業を開始しました。

分析の結果は、デザインのトレンド・リーダーはドイツの某大手メーカーである。
国産の大手メーカーは、このトレンドに明確に追随するメーカーと、このトレンドとは無縁の機能主義的デザイン手法を採用するメーカーに2極分化していること。

世界の大手以外の各工作機メーカーも程度の差はあれ、かなりの多数例がこのトレンドを一方の極にしている、と断定しました。

トレンド・リーダーであるドイツの某大手メーカーのデザインレベルは、私達からみても驚くほどに高く、文字通り「一分のすきもない」という表現が当たるもので、デザインに対する熱意の高さが一見して伝わってくるものでした。

必然的に、私達が提案するデザインはこのメーカーのそれを大きく凌駕していなければならない…ことになる訳です。

私達はクライアントに、このメーカーの時系列毎の情報の提供を求め、その資料から、このメーカーの次期モデル、次・次期モデルを推量する作業に入りました。

言うまでもなく私達の戦略は、このメーカーの、次期モデルではなく、まだ全く姿の見えない、次・次期モデルをその二歩手前で先取りしてしまう、というものです。

数々の設計上の問題解決を提案してデザインは完成し、私達のデザインに対する社内の支持は90%以上である、という経過報告を経て、ついに、優勝と決せられたのです。